EtherCATの同期モード と CiA402の位置決め制御モード

EtherCATの同期モード

EtherCATはマスターからの指令によって接続された各スレーブを制御する構成となっています。
マスターからの指令は基本的にはPDO(Process Data Objects)通信と呼ばれる通信でサイクリックに送られてくるわけですが、 同期モードとはマスターからの指令に対し各スレーブがどのようなタイミングで動作するかを決めているモードになります。
製品選定にあたっては、対象の製品が目的のモードやサイクル時間に対応しているかの確認が必要です。

FREE RUN

マスターからの通信には同期せずに、スレーブ各自の処理周期で動作するモードです。
したがって複数スレーブに同時に指令を出した場合、動作タイミングは同一とはなりません。
(見た目は変わらないかもしれません)
通信サイクルに対するリアルタイム性は欠けますが、初期調整段階での動作確認などでよく利用されます。

SM同期

SMはSync Managerの略で、スレーブ内で通信フレームデータの処理を行う内部モジュールです。
SM同期はマスターからの通信フレーム受信に同期して動作するモードです。
マスターからの通信フレームはスレーブを経るたびに伝送遅れが発生しますので複数スレーブ間の動作タイミングはズレてしまいます。
(見た目はわからないでしょう)

DC同期

DCはDistributed Clocksの略でEtherCATが同期動作を行うための特徴的な機能です。
各スレーブのマスターからの通信フレーム伝送遅延時間を測定しシステム時間を共有、
タイミングを合わせることで複数スレーブ間の正確な同期処理を実現しているモードです。

CiA402の位置決め制御モード

EtherCATを使ったモーション制御では、多くの場合CiA402ドライブプロファイル規格が利用されています。
CiA402では位置決め制御だけでなく、速度制御やトルク制御などのモードも定義されています。
また製品によっては規格定義された標準仕様に加え、メーカー独自仕様や設定が提供されています。

PP(Profile position)モード

マスターから速度、加速度、減速度、目標位置などのデータが送信され、それらに基づきスレーブが位置決め動作を行います。
軌道の生成はスレーブが行います。

CSP(Cyclic synchronous position)モード

CSPモードでは軌道の生成はマスターが行います。
マスターはスレーブに対し動作目標位置をPDO通信で毎サイクル指令、スレーブはそれに追従して動作します。
前述のDC同期によって複数スレーブでのサイクリック補間動作が実現でき、多軸ロボットなどの制御で利用されるEtherCATモーション制御における特徴的な機能の一つです。

EC-ADシリーズ

ステッピングモータドライバ搭載の弊社EC-ADシリーズは、実績のある弊社製パルスコントロールLSI PCLシリーズを搭載。
PPモードをDC同期, 短いサイクル時間(250us)で利用でき、補間やCSP制御を必要としないEtherCAT多軸制御アプリケーションにおすすめの製品です。

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