リニアステップ特集

直動型ステッピングモーターってなに?

直動型ステッピングモーターは、通常のステッピングモーターをベースにし、ローター(めねじ)とシャフト(おねじ)により、回転運動を直線運動に変換することができるステッピングモーターです。

実際の動作は、右の動画をご覧ください。

日本パルスモーターでは、直動型ステッピングモーターを「リニアステップ」と呼んでいます。

リニアステップ(直動型ステッピングモーター)には、
5つの大きな特長があります。

1.制御が簡単

ステッピングモーターだから制御が簡単。
駆動方式・制御方式はステッピングモーターと同じです。

2.簡単な構造

ボールベアリング両支持のローター内にめねじを設け、
おねじが出入りするシンプルな構造です。

3.高効率

特殊すべりねじ、転造ボールねじの採用で、高ネジ効率・大推力化を実現しました。

4.長寿命

シャフトをボールベアリングで支持することにより長寿命化を実現しました。

5.豊富なラインアップ

モーター種類・ねじリード・ストローク及びキャプティブタイプ等、
豊富なラインアップを用意しました。

ラインアップ

日本パルスモーターでは、6種類のリニアステップをラインナップしています。

PM型リニアステップの「PFL・PFCLシリーズ」は、小型で低コストが魅力です。リード線直出しとコネクタータイプの2種類ございます。
「PFCLキャプティブタイプ」は、回り止め機構を内蔵していますので、お客様側で回り止め機構を用意する必要がありません、
また省スペースも実現できます。

HB型リニアステップの「PJPLシリーズ」は、PM型PFL・PFCLシリーズよりも高い推力を発揮します。
通常のすべりねじタイプと、さらに高効率を実現した転造ボールねじタイプの2種類ございます。
シリーズ モーター外径
(mm)
ステップ数
(step)
ねじリード
(mm)
分解能(送り量)
(mm)
ストローク
(mm)
PFLシリーズ
リード線直出しタイプ
20 24 1.20 0.05 30 / 60
35 48 0.48 0.01 30 / 60
0.96 0.02
1.20 0.025
PFCLシリーズ
コネクタータイプ
25 24 / 48 0.48 24step : 0.02 30 / 60
48step : 0.01
0.96 24step : 0.04
48step : 0.02
1.20 24step : 0.05
48step : 0.025
PFCLシリーズ
キャプティブタイプ
25 48 0.48 0.01 19
PJPLシリーズ
すべりねじタイプ
28 / 42 200 1.00 0.005 40
PJPLシリーズ
転造ボールねじタイプ
28 / 42 200 1.00 0.005 □28 : 40 / 80
□42 : 50 / 100
2.00 0.01

分解能・パルス数・移動量の計算方法

直動型ステッピングモータの分解能(送り量)と速度の計算方法は、なかなかイメージしづらいと思いますが、
右の絵のような、螺旋階段で考えると分かりやすいかもしれません。
螺旋階段 リニアステップ
1階から2階までの段数 ステップ数
1階から2階までの高さ ねじリード
1段の高さ 分解能(送り量)
1秒間の歩数 パルス数(pps)
例えば、1階から2階まで48段の階段だとすると、ステップ数は48となります。
一回転しながら2階まで上った高さが、ねじリードです。
2階までの高さを段数で割った数が、1段分の高さ=分解能です。
そして、上る速度はパルス数に関係します。

計算式にすると、
1.分解能(送り量)の計算式
  分解能=ねじリード÷ステップ数

2.シャフトの移動量の計算式
  移動量=分解能×パルス数

3.入力パルス数の計算式
  パルス数=シャフトの移動量÷分解能
となります。

リニアステップ クイズ

上記の計算式を踏まえて、簡単なクイズを出題しますので、息抜きにぜひチャレンジしてみてください。
上に出てきた仕様一覧表にも答えがあるかも?
※答えはページ下部に掲載します。

Q1. PFLシリーズリード線直出しタイプ、PFL35T-48のモーターで、ねじリード1.20mmの場合、分解能はいくつでしょう?
(ヒント:PFLシリーズは48ステップです。

Q2. PJPLシリーズ、PJPL42Tのモーターで、ねじリード2mmの場合、1ステップあたりの移動量は何mmでしょう?
(ヒント:PJPLシリーズは、200ステップです。表現は違いますが、聞いている事は同じです。)

Q3. PFL35T-48モーター(ねじリード1.20mm)の場合、100ppsのパルス入力で1秒間に何mmシャフトは移動しますか?
(ヒント:Q1のモーターと同じものです、つまり分解能は0.025mm

Q4. では逆に、PFL35T-48モーター(ねじリード1.20mm)の場合にシャフトを20mm動かしたい時、何パルス必要でしょうか?
(ヒント:使っているモーターは同じで、前問とは計算が逆になります。分解能は0.025mm

こんな方におすすめします。

1.回転運動を機械部品で直線運動に変換している。

機械部品を使って直線動作をさせている場合、直動型ステッピングモーターに置き換えを検討してはいかがでしょうか?

リニアステップを使うことで、
・機械部品が必要ないので、省スペース化が可能です。
・構造が簡単なので、設計の手間が省けます。
・部品点数も少なく済むので、コストが下がる可能性があります。
・最後にモーター側で直動にしますので、効率も良いです。

2.エアシリンダーを使って直動運動させている

エアシリンダーは高圧の空気を押し込んで動作させますので、途中で止めたり、動作を再開させたりといった動きができません。
リニアステップなら、モーターで動作させますので動かす・止めるを複雑に設定可能です。
また、高圧の空気を作るためのコンプレッサが必要ないので、粉塵が飛ばず、音も静かで小型な装置を実現可能です。

使用例

加工・製造装置

  • 金属加工装置
  • 放電加工機
  • レーザー加工機
  • PCB穴あけ装置
  • 精密XYステージ
  • ステッパー
  • コーターディベロッパー
  • 実装機など

測定・検査装置

  • 液晶用途検査装置
  • 半導体用途検査装置
  • 生体物質用顕微鏡
  • 分光・光学測定機
  • プリント基板検査装置
  • 表面検査装置
  • 三次元測定装置
  • プローバ
  • スキャナーなど

クイズの答え
A1. 分解能は0.025mm(1.20mm÷48ステップ=0.025mm)
A2. 分解能は0.010mm(2mm÷200ステップ=0.010mm)
A3. 1秒間に2.5mmシャフトは移動する。(0.025mm×100pps=2.5mm)
A4. 800pps必要。(20mm÷0.025mm=800pps)

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