直動型ステッピングモーター(リニアステップ)に使用されている、
"ねじ"について技術的な話をまとめました。
ぜひご参考ください。
Q. リニアステップはどうしてミリネジ(メートルねじ規格)ではないのですか?
A. 推力と精度、価格のバランスを実現するためです。
お客様からのご意見・ご質問で「自分で用意したねじをリニアステップのシャフトとして使いたい」という内容をいただくことがあります。
リニアステップの送りねじは原則として専用ねじ(ネジシャフト)以外にご使用いただけません。
リニアステップ(PFCL25 / PFL35Tシリーズ)で採用しているねじは、直径が5mmです。
ふつう直径5mmのねじといえばいわゆる”M5(直径5mmピッチ0.8の三角ねじ)”を思い浮かべると思いますが、リニアステップのねじシャフトは直径以外すべて異なります。
まず、ねじリード(=ピッチ)が3種類(0.48 , 0.96 , 1.20)あります。
ねじ山は三角ねじでも台形ねじでもない独自形状です(どちらかというと丸ねじに近い…)。
このため、市販のメートルネジ(またはインチネジ)との互換性はありません。
このようになっている理由について
◆ ピッチについて
リニアステップのねじピッチは、分解能を表しています。
1ステップあたりに進む距離がリード0.48の場合0.01mm/stepとなり、0.96,1.20ではそれぞれ0.02mm/step、0.025mm/stepとなります(※ステップ数48のモーターの場合)。
つまり、リードは分解能(または速度)を決める要素として用いられています。またリードのばらつきは精度の悪化につながるため、一定水準の精度を維持しています。
◆ ねじ山について
リニアステップのねじ山形状は、試行錯誤の末に生まれた独自形状のねじ山です。
これはφ25やφ35サイズの小型モーターの限られたトルクを効率よく推力に変換するため、そのうえで製品寿命も延ばすためという理由から選ばれました。
さらにそれだけではなく、製造コストと加工精度のバランスもよいものとなっています。
◆それ以外の要素
このほかにもリニアステップでは専用グリースの選定や、雄・雌ねじの材質、表面処理をはじめとした複雑な要素の組み合わせで安定した高性能を発揮できるようにつくられています。
またPFL20シリーズでは多条ねじの採用、PJPLシリーズでは三角ねじの採用など、それぞれのシリーズの用途、特性に適したねじ設計を行っています。
詳しくはリニアステップ関連ページをご覧いただくか、お気軽にお問い合わせください。